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【日本経済新聞    2月25日 火曜日】

<電子政府市場  OSの攻防>

無償の基本ソフト(OS)である「Linux(リナックス)」への関心が急速に高まっている。
プログラムが完全公開されている点を評価し政府や自治体が採用の検討を開始。
これに呼応するよに情報技術(IT)企業の合従連衡も始まった。
長らくマイクロソフトの「ウインドウズ」が席巻してきた国内のOSの勢力図が、
塗り変わる可能性が出できた。

 ジャストシステムなどITベンチャー企業六社が発起人となり3月に発足する「日本情報
セキュリティー開発機構(JISDN)」。
昨年8月に稼動した住民基本台帳ネットワークの次期システムをリナックスを使って
受注を目指す同機構に、日本IBMが参加の検討を始めた。
 日本の公共システムの市場は電子政府関連だけで2003年度までの三ヵ年で
一兆五千億円の市場規模があるとされる。
このうちNTTデータを中核とするNTTグループを筆頭に富士通、日立製作所、NECの情報サービス
大手四社が六割前後のシェアを持つとみられている。
 資本力に劣るベンチャー企業と外資系の日本IBM。両者にとってなじみの薄かったこの市場を
切り崩すためには、リナックスが有効な武器になる。稼動した住基ネットはかなりの部分に
ウインドウズが採用されているが、次期システムではリナックスの採用を働きかける。
 一方、リナックスで電子政府向けシステムの構築を請け負う企業連合も1月に発足した。
名称は「オープンソーステクノロジーアライアンス」(OSTA)。
サン・マイクロシステムズ、富士ゼロックスなどの特定の分野に強みを持つIT企業三十二社が
参画した。同連合はリナックを核に各社が機能を相互補完してシステム受注を狙う。
 求心力を持ち始めたリナックス。その源泉は、プログラムが無償で、しかもその原文である。
「ソースコード」が完全に公開され、世界の技術者が誰でも開発に参加できる点だ。
ソフト自体が商品であり、ソースコードも原則として非公開だった米マイクロソフトの
ウインドウズと対極にある。
 とりわけ、政府や地方自治体はリナックスのプログラムが公開されていることを評価している。
ソースコードが分からないとシステムの運用主体はOSに関連したトラブルに自力で対処できず、
そのたびに開発元に対応を求める必要が出てくるからだ。
 公共システムに採用するOSについて片山虎之助総務相は「そもそも中身の分からないものを
使うのは問題がある。中身が分かり、しかも使えるソフトがあるなら導入を検討するのは
当然のこと」と明言する。

国内システムでは現在、米国系OSが席巻している。2002年の日本市場でのサーバー用OS
シェアはウインドウズ約75%、UNIX約14%。ウインドウズは、同年の米市場における
シェアが59%だったのと比較しても高い。公共システムでもウインドウズ一辺倒となるようなら、
マイクロソフト1社に過度に依存する体制になりかねない。同様の事情から欧州では
英国、ドイツなどが公共システムにリナックスを採用し始めた。
 新たな選択肢として期待されるリナックスの急浮上は、そのままユーザーの“ウインドウズ離れ”
につながる。この兆しを察知したマイクロソフトは、1月ウインドウズのソースコードを
政府向けに条件付で公開する制度を新設した。
 25日にはビル・ゲイツ会長自身が来日し、平沼赳夫経済産業相や片山総務相と相次ぎ会談、
ウインドウズの優位性を訴える。OSを巡る戦いが風雲急を告げてきた。

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