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≪ビックコミック  2003年7月25日号≫

【ゴルゴ13シリーズ】
<第431話 後編>
さいとう・たかを
さいとう・プロ作品

<国家産業>

A「このバッジにお二人のIDが入力されていますので、まずこれをお付けください。

A「そのバッチはIDを発信すると同時に、お二人の生理状況を把握するセンサーも
兼ねています。例えば、健康状態に問題が起きるような事があれば、すぐ、
ホストコンピューターがそれを把握し、対処します。人間が生活する上でこれほど安心な
環境はありません・・・・・」

B「・・・・私たちの健康状態に、何か問題を起こそう、なんて事は・・・・
ないでしょうね・・・・・?」

A「ははは・・・・・とんでもない冗談を!」

C「・・・・・・・・・・・」

A「ユービトピアにこられる方は誰もがパートナー・・・・・・
私どもはそう考えておるのです。」

B「・・・・・・・・」

A「この公園もユビキタス環境の一部分で、完全にコンピュータ管理されています。
木々にもセンサーが備えられ・・・・・」

A「この遊歩道にもマイクロコンピュータが、埋められています。」

A「気温や、温度、風向、風力などのデータが、常にホストコンピューターに送られ、
それによりスプリンクラーの稼働が管理されるほか、施設内の様々な機械も制御されているのです・・・・」

B「・・・・日本では無理ですな、この規模でやるのは・・・・・」

C「都会ではこれだけの土地は、確保できない・・・・」

B「かといって、田舎ではベースになるインフラ整備に、桁違いの金がかかる・・・・・」

C「ええ・・・・・・」

A「米国においては、もはやIT産業は国家産業なんですよ!」

A「IT化の本質的意義も理解していない政治家が、人気取りで音頭を取っているだけの日本とは、
まったく違う・・・・・」

C「・・・・・・・・・・」

B「・・・・・・・・・・」

C「政府や政治家が頼りなくても、その分私たち技術者が頑張っている!
決して米国には負けませんよね、先生!」

B「だが・・・・・・
日本政府が、しっかりしていたら・・・・・」

B「北下大学の基本ソフトのオリオンが、1989年の米国横槍でパソコンから撤退することもなかった・・・・
それも事実だ・・・・・」

C「・・・・・・・・・・」

C「と、言うと、半田先生は、日本と言う枠の中で開発を続けることに、まさか疑問を持っている、と・・・・・?」

B「何も、そこまでは言ってないよ」

C「・・・・・・・・・・」

<信念に従って・・・・・・>

A
「以上で、サイバーテクノス社のユービトピアについて一通りご案内を終えました。
いかがでしたでしょうか・・・・・?」

B「理論的には、すべて、私の頭の中にあるレベルのものでしかありませんが・・・・・・
それを物理的に実現したいということは、正直頭が下がります・・・・・・」

C「同感です・・・・・」

A「ありがとうございます・・・・・・
しかし、これだけの設備にも欠けているものがあります・・・・・」

B「・・・・・・・・・・」

A「そう、それは、お二人とそして、私たちのコラボレーションです。お二人の開発している新しい映像圧縮
技術と小型端末用のプラウザ、そしてサイバーテクノス社の次期基本ソフトである「インスパイアMX」が
合体してこそ、来るべきユビキタス社会の基盤が築かれる!そうは思いませんか?」

B「・・・・・・・・・・」

A「考えてみてください、お二人の開発した技術を搭載した新OSが、将来無数に誕生する、このユービトピア
のような都市と、個人を直結する司令塔になるのです。そこでは民間サービスは、もちろん、保険、年金と
いった行政サービスまでも小型端末でアクセスし、コントロールが、可能なのです!」

B「・・・・・共同開発によって、優れた技術が生まれることは、否定しません。しかし、排地的に市場を支配することは、
私の本意ではありません!」

A「・・・・・・・・・半田先生一流の、共有理論ですか・・・・・・」

B「私の信念は、すでにご存知と思います・・・・・しかし改めて、言わせていただきたい!
基本ソフトは、人類共通の財産です!そのソースコードをオープンにすることにより世界のあらゆる技術者が、
その技術を改良し活用できるようにする。それによって技術は、澱みなく進化し得るのです!」

A「・・・・・・・・・・
先生のご高説は、理解できないではありません・・・・・・
しかし、理想論だけでは、市場は動きませんよ!」

B「・・・・・・・・・・」

C「・・・・・・・・・・」

A「このユビキタス環境の建設には、小さな国の国家予算以上の金額が割かれています。先生の理論でそれだけの、
予算をどうやって集めるというのです?」

B「時代や社会が要求すれば、おのずから集まる・・・・・・・と、信じます・・・・・・・」

A「実際に企業の経営者でもある鷲尾氏は、どう思われますか?」

C「・・・・・利潤追求は避けて通れません・・・・・
しかし、問題は、その“方法”です。

A「・・・・・・・・・・」

A「社会には有益なものを生み出したものが、利益を得、それを資本としてさらに社会に貢献する、そのシステムが
社会を発展させるのです・・・・・・
あなた方がいくらきれい事を言おうとそのシステムの中で、現実に生きているのですぞ・・・・・!」

A「先生のロジックはこの資本主義経済社会へのテロ行為といってもいい!
考えようによっては共産主義以上の、危険思想ともいえる!!」

C「権力の傀儡にそこまでいわれる筋合いはないっ!!
あなたの理論は専制政治並の危険思想じゃないのかっ!?」

B「まあ鷲尾君、落ち着くたまえ、・・・・・・ミューラー氏が言うこともあながち、誤りではないよ・・・・・・」

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