10月から「資源有効利用促進法」に基づく家庭用パソコンのリサイクル制度がスタートする。
家庭で不要となったパソコンについては、全国2万ヶ所以上の郵便局が回収拠点となり、
消費者はリサイクル料金を負担し、メーカー各社がリサイクル処理を行う。
だが、リサイクルの推進だけでは、大量生産・消費・廃棄という悪循環は解消しない。
ユニバーサル・コミュニティ・センター(以下、UCC)の菅野正敏さんは、全国から寄せられる
パソコンやOA機器を修理して社会福祉団体などに無料または安価で提供する事業を
展開する一方、壊れたパソコンを自分で直す修理技術を教える再利用講座や組み立て方講座も開催する。
 「わずか3ヶ月から1年の間に、新しいパソコンやソフトウェアが次々と開発される一方で、型は古くても
まだまだ使えるパソコン多くがゴミとして廃棄されているというのが、いまのIT産業をめぐる現状です。
 しかし、何十ギガもの大容量や動画(映画)をパソコンで見るためのDVD機能といった、新しい性能や
機能を本当に消費者は必要としているのか、と考えるとおおいに疑問であると思う。
 技術革新ブームのなかで、消費者は必要としていないものまで購入し、そのことが大量の廃棄パソコンを
産むことにつながっているのではないか。
 一方、必要な機能だけにすれば、20万円以上のパソコンに値段はずいぶん安くなるはずです。
 人とパソコンのこうした関係を見直すために、リユースは大きな役割を果たすのではないか」
 菅野さんは、地域にリユース文化を育むことを目的とした、パソコンの組み立て方講座や再利用講座を開催している。
 「通常のIT講習では、パソコンの使い方は教えても、パソコンの仕組みや修理の仕方は教えない。学校教育に
おいても同様です。
 しかしそれでは、子供たちはソフトウェアのユーザーにはなれても、パソコンやソフトウェアの製作者にはなれない。
と私は思う。
 教育現場では、ソフトウェアの操作方法から教えるのではなく、コンピュータとは何か、コンピュータと人との関係は
どうあるべきかについて教えるべきです。
 一人ひとりが手にドライバーを持ち、パソコンの箱を開けて、パソコンの機械的な構造を理解することから始める。
そして中古パソコンを修理することを通して、パソコンと人との関係のあり方を見直し、そこから環境への配慮や人と
人との輪を生み出していけたらと思う」
 リユース事業については、UCCの活動に賛同して、全国からたくさんの中古パソコンが届くようになり、学生の
ボランティア団体・全国大学リユースネットワークも近く発足する見通しだ。来春には、青森県東北町に地元の
福祉施設との共同によるリユース・リサイクル工場が竣工するという。
 が、課題もある。
 「使えなくなったパソコンを再び使えるようにするには、改めてOS(オペレーティング・システム、パソコンの基本的な
操作環境を提供するソフトウェアのこと)を入れなければならないケースが多いのですが、ここに問題があります。
 1つは、市販されているOSの値段が非常に高いことです。安いもので2万円、高いものだと8万円くらいする。
 これはパソコンのリユースをするうえで、非常に大きなコスト負担になる。
 もうひとつは、適応性の問題です。
 7,8年前に購入したパソコンに最新のOSを入れようとしてもこれが入らない。また、古いOSを入れたくても市販されていない。
 そのほかにも、ソフトの基本的な部分でメーカー間の共通化が図られていないため、いちいち個別のソフトを探さなければ
ならず、その手間も大変です。
 私たちは、OSについてはインターネット上で無償提供されているリナックスを使用するようにしていますが、リユースを推進
するには、メーカー各社の協力がどうしても必要です」。
 「コンピュータは弱者のためにこそあるものだと思っているんです。歩いて買物が出来ないお年寄りや障害者の方にとって、
ネットショッピングはすごいことです。障害のある人が修理の技術を身に付けることでそれを生きていく武器とすることもできる」

<ユニバーサル・コミュニティ・センターに戻る>